どれぐらいガムをかんだら薄毛予防になる?

6月、朝の情報番組で「ガムをかむと薄毛予防になる」との話題を取り上げていた。かむ動作によって頭頂部の血流が促進されるため、という理由も説得力がある。折しも50代に入ってからというもの、散髪に行くたびに鏡を通して後ろから見る頭頂部の薄さが気になっていた手前、「ガムかむだけで効果があるなら試してみる価値アリ」とばかり、意識してガムをかむようになった。

とはいえ、もともとあまりガムをかむ習慣のなかった我が身。買ったガムは子供のころ食べていたものと比べてあまりに小さく、「これだけでいいの?」とちょっと不安に。そもそも情報番組は通勤時間と重なって冒頭しか見られなかったため、「一体ガムをどれだけの量、どれだけの時間かめばよいのか?」と疑問に感じたので調べてみた。

番組の内容を要約しているサイトなどはあるのだが(【あさイチ】実はすごい「噛むパワー」NHK 6月5日 | 和のログ など)、そこに書いてある「正しいかみ方」はどうやら美容効果の流れの中で示されたかみ方のようだ。薄毛予防についての「正しいかみ方」の記述は見つけられなかった。

ならばと「薄毛予防に効果がある」という内容のもととなる情報を探すことに。その結果、菓子メーカーのロッテの研究が根拠となっているようだった。ロッテは、2021年に「平日にガムをかんでいる時間が長い人と短い人とで頭頂部の毛髪の太さを比べたところ、かんでいる時間の長い人の方が太かった」という研究成果を学会誌に掲載( ガム咀嚼習慣と毛髪の太さに関する調査研究結果報告。「アンチ・エイジング医学ー日本抗加齢医学会(2021年17巻2号)」に論文掲載されたことをお知らせします。|株式会社ロッテのプレスリリース  )。2022年には「ガムをかんでいる時とかんでいない時とで前頭部や頭頂部の頭皮の血流を調べると、かんでいる時の方が血流が増えていた」という研究結果を発表した( 薄毛・抜け毛が気になる「20代男女」が最多 ガムを噛むことにより「頭皮血流」が増加することが明らかに。|株式会社ロッテのプレスリリース )。番組は、この二つの研究成果をもとに「ガムをかむことが薄毛予防に効果がある」としたのだろう。

厳密には直接両者の因果関係が証明されたとは言えなそうだが、問題の「どれぐらいの量のガムを、どれぐらいの時間かむか」という点についてはどうだろうか。

2021年の論文では、1日平均51.1±13.0分ガムをかむ人と、1日平均10.0±6.8分ガムをかむ人とを比べてデータを取っている。つまり、1日平均50分以上ガムをかむ人になら、髪の毛が太かったということだ。残念ながら量については記述を見つけられなかった。

50分……! 正直、思ったより長かった。10分程度で味が薄くなり、あとは惰性でかんでいたのだが、10分ごときでは「かむ時間が短い人」に分類されてしまうのだ!

ということで、ちょっとかむのに今まで以上に覚悟をもつようになった。とはいえ、効果が自覚できるようになるのはいつのことやら。