魚のあら

単身赴任生活になってからというもの、魚屋に行ってもあらしか買わない。スーパー選びの一つの大きな要素は、そこの魚屋があらを出すかどうかだ。

そもそも、あれだけ大量に魚をさばいておきながら、売りに出されているあらの量があまりに少ないことに驚く。店によってはあらを売り場にまったく出さない店も少なくない。そこではさばいた後のあらはどのように処理されているのだろうか。ごみてして捨てているのだろうか。ネットのどこかで、あらが売り場に出るのは、場所があまったときだけというのを読んだことがあるが、SDGs、フードロスと声高に語られることが多い昨今、魚のあらの行方が気にかかる。

あらしか買わないのは、圧倒的なコストパフォーマンスが大きな理由だ。夕方以降に売り場に行くと、75%引き、100円以下なんてあらが手に入ることもある。それでもそれなりの量があるから、1食か2食分のおかずには充分だ。刺身はお金に余裕のある方々にお任せして、私にはあらがお似合いだ。

もっとも、あらとなると料理法は限られる。以前はあら炊きをしたこともあるが、最近はほとんどやらない。それなりに調味料が必要とする一方で、煮汁の使い道があまりない。せいぜいそうめんのつけ汁に使えるぐらいだろうか。なんとももったいない気がする。

そこでもっぱら作るのは潮汁だ。ひたすらゆでて、あくを取り、わずかな塩としょう油だけで味付けする。残るのは骨だけ。コストパフォーマンスが大変よろしい。

ただし、青魚のあらは臭みが強いこともあって潮汁にあまり向かない。そこでアジのあらなどは骨せんべいにする。こちらになるとゴミも出ない。ただし、揚げ油の処理に頭を悩ませることになる。

これまでいくつかのスーパーを回って、タイの頭のあらなら夕方に半額になって100円というのを値段の一つの目安にしていた。ところが最近は、半額になる前の値段でタイの頭が300円とか平気でしている。タイのあらは比較的料理しやすいのでわからなくもないが(兜煮とか立派な一品料理になる)、その他のあらもつられて値が上がるのは解せない。あらはあららしく扱ってほしい。